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東京は隅田川の近く、業平(なりひら)に2011年完成予定の新しいタワーが建ちます。地上デジタル放送の電波を流す、新東京タワーとして世界で最も高いタワーとなる予定です。
その、デザイン監修という大変な仕事を私はさせていただきました。
このページでは、私が東京スカイツリーをデザインする上で強く心をかけた幾つかの着目点を、みなさんに分かり易くお話していきたいと思います。
私の大好きな古代の日本の建築や彫刻の話、脱線しながらも連載が終わった時には、東京スカイツリーがただの電波塔ではなく、この新タワーも日本の技能を駆使した世界に誇れる日本人の技術であることを知り、また語り続けられる存在になってほしいです。
そして(かわイイ、おいしイ、気持ちイイ世代の)若者たちに是非、日本の誇れる文化は深みあるカッコイイものが沢山あると知ってほしいです。

私がデザインを考える上で最も制約されたことは、”土地の狭さ・塔の高さ”でした。
テレビ塔の心臓部のアンテナは非常な高さを要し(高さは現在の東京タワーの2倍近い634メートル。しかも4本足でガツンと立つ東京タワーよりもせまーい土地!(画面右上:比較イメージ)70m四方の底面です。その上で、彫刻家である私がデザインするのですから”美しさ”は芸術家にとって必須です。
『狭い土地に高くて美しい塔を建てるには五重の塔しかない!!』
私のアーティストとしての人生では折々に日本の古い建築から学び感銘を受けてきました。7世紀創建の法隆寺をはじめ日本独自の木造の遺構は汲めども尽きない知恵があります。特に法隆寺の五重塔は中心を貫く心柱を四天柱と側柱が取り巻くように最上層の大屋根の垂木と組み合うまで、触れることなく組み上げられており、中空の構造で柔軟性のある制震構造になっています。天秤構造になる独特の肘木が組み込まれ、常にバランスを取り地震やすべてに耐えていると云います。これは世界に誇れる日本人の知恵の結晶だと、私は思っています。姿形も美しく、”凍れる音楽”と世界で讃えられているのです。

JR京都駅の新幹線ホームからもよくご覧頂ける東寺の五重塔(画面右下:構造図)。東寺の塔は創建以来、4度の焼失を経ていますが、地震で倒壊したという記録は見当たりません。
塔全体の材木は一本、一本が短く、木材同士は切り組みの単純な接合なので、各層は互いにしっかりとは繋がってはおらず積み上げただけの状態。地震に襲われると、そのエネルギーは接合部で吸収され、上層へ伝わるにつれて弱くなります。また、各層の柱は下と上との層が互い違いに振動することで、倒れようとする力よりは元に戻ろうとする復元力が勝り、振動を小さくする効果があるのです。ちょうど一本に積み上がった5つのやじろべえがバランスをとるのように…。(画面右中央CG:やじろべえ)
そして、五重塔のもう一つの特徴的構造は「心柱」。長い柱がかんぬきの様に中心部を貫き、塔全体がたわむのを防ぐと考えられています。しかし、いまだにその役割は解明されていません。
新タワーは、このような五重の塔における中心部の構造を残したデザインにしました。
そして、新タワーの足元は3本足。「3」は最も合理的で安定した数。三点立ちの正三角形から始まり次第に円形に変化する。見る角度や眺める場所によって多彩な表情を見せてくれることでしょう。
デザイン決定までに、エスキース(立体模型)は50個ほど作られました。
1300年以上凛として立つ日本の古き良きタワーに負けないように!!
こんなところで、第1回のお話はおしまい!
次回!!柔らかく力を受け流す現代版五重の塔★

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*画像はイメージです。

江戸時代以前に建立されて
現在も残っている
五重の塔は現在全国に
22あります。 |
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